iDeCo(個人型確定拠出年金)は富裕層に有利
iDeCoが注目を集めていますが、これは拠出金が全額所得控除となるもので、税率が高い人ほど節税になるため富裕層に有利な制度といわれています。
また、拠出するお金が多ければ多いほど節税になりますが、そもそも手元に余裕資金がなければ、拠出することはできません。60歳になるまでは手を付けられない年金になるため、手持ちの資金に不安がある状態では掛け金をかけることができないのです。
具体的には、非正規雇用で日々の生活費にもカツカツな状態の場合、はたして年間27万6千円というお金を拠出できるでしょうか?
いいえ、できません。
仮に何とか切り詰めて拠出できたとしても、60歳までは引き出し不可ですので、当面の貯金に回すのが一般的だろうと思います。加えて、仮に拠出したとしても、所得税率が5%、住民税約10%で15%程度の場合は41,250円程度の節税効果しかないため、ほとんど意味がありません。
(※金額は正確に計算したものではないので、ご了承ください。)
一方、手持ちである程度の余裕資金を持っている高額所得者の場合、拠出できる余裕は十分にあるはずです。また、小規模企業共済などと合わせれば、84万円+27万5千円で111万5千円まで拠出することが可能です。
この場合の節税効果については、例えば、所得税率が40%だったとした場合、住民税10%と合わせて50%の節税効果が見込めるため、55万7,500円もお得になってしまうわけです。
つまり、富裕層は小規模企業共済と合わせて55万円レベルの節税効果があり、低所得者層の場合は4万円程度の節税効果しか見込めないのに加え、現実的に考えても、余裕資金がなければ拠出できません。
この税率が高いほど節税効果が高いという点、そして手持ち資金に余裕がなければ、掛け金を拠出することができないという点で、iDeCoは富裕層に有利な制度といえるでしょう。
このような富裕層向けの制度は多くなってきており、例えば、ふるさと納税制度についても同様といえます。ふるさと納税するには、手持ちの資金からの拠出が必要になるわけですが、非正規雇用の状態では手持ち資金はないでしょうし、仮にあったとしても、節税効果が低いため、あまり意味をなさないのです。
「富める者はさらに富む」というシステムが着々と構築されてきているわけですが、もしあなたが富裕層である場合、このような制度をどんどん活用していくとよいでしょう。