富裕層にかかる税金についての考察

サラリーマンなどの一般的な労働者の主張として、富裕層への税金負担は重くするべきだという意見をよく耳にします。一方で、ニートや生活保護を受けている人達に対しては、税金を納めずに社会のサービスにただ乗りするだけの、何の役にも立たない邪魔者という言い方をする人が多いです。

けれども、実態を見てみますと、全体の税収の約7割は少数の富裕層が負担しているわけでして、平均的な収入のサラリーマン世帯は全体の2割程度を負担しているにすぎません。わたしのまわりでもサラリーマンの税金は驚くほど少なく、年間でたった数十万円程度しか納税していない人も実際に多いのです。

なかには、正社員なのに20~30万円程度しか納税していない人もいるようなのですが、このような人が納税していないニートやワーキングプアを叩いているのは、何だかおかしな感じがしてしまうわけです。数百万~数千万円単位で納税している富裕層からみたら、どちらも似たり寄ったりで税金を払っていないのとほぼ同じことです。

もちろん、トップクラスの富裕層ともなると億単位の納税をしている人もいるわけなので、私のような数百万円程度の納税者については、彼らから見ると税金を払ってないのと同然なのかもしれません。

つまるところ、誰もが税金は自分以外のところから取ってくれという、身勝手な結論になってしまうのです。

このような考えに縛られてしまったら、誰もが自己中心的な人ばかりになってしまいます。逆に、働けない人の分まで働いて社会を支えるのだという豊かな気持ちでいれば、税金は単に取られるものではなく、誰かの役に立つという意味のあるお金にかわっていきます。

税率50%の富裕層の場合、社会保険や事業税も含めると年間の約半分は税金のために働いており、年6か月はボラインティアをしているようなものなので、これを嫌々やっているか、それとも意味のあるものとしてやっているかで、気持ちの上での負担も大きく違ってきます。

税金は取られるものではなく、社会のお役に立つために払うものという感覚でいることが、富裕層としてのメンタリティーを正常に保つ上で大切な考えとなってくるでしょう。