銀行の不動産投資ローンが不良債権化する懸念
平成27年から相続税が増税されましたが、この影響により相続税対策のアパート建築が加速しているようです。いわゆる不動産投資ということになりますが、家賃収入が見込めて相続税対策にもなることから、富裕層の間で人気になっているようです。また、マイナス金利導入などもありましたので、マンションのローンも組みやすくなっていることから、一般のサラリーマンでも不動産投資に参入している人が多くなってきています。
ただ、すでにメディアでもいくら儲かったなどという話がゴロゴロ出てきており、みんながみんな不動産投資をやりはじめることで供給過多になると、需要と供給のバランスが崩れることになってしまいます。アパートなどの貸家物件の着工伸び率が11%台に増加しているなか、東京では空室率が3割を超えるケースも多くなってきているようで、想定していたような家賃収入が入ってこないなどのトラブルが多くなってきています。
今後も少子高齢化社会で人口が減少していくなか、投資用不動産の件数だけが増加し続けていくと空室率が悪化の一途をたどることが想定されています。また、昨今の中国経済の崩落により、中国富裕層による爆買いも消失してしまうことでしょう。今のところはまだ、不動産価格は高値を付けていますが、今後、家賃収入の減少や不動産価格の下落などで大損をしてしまう富裕層も増えていくかもしれません。
これから不動産投資をはじめようと考えている富裕層の方は要注意といえます。
ただ、ぼくが心配しているのは、これは一種のサブプライムローン化するのではないかという懸念です。居住用の住宅ローンの金利と比較して、不動産投資用の金利は高めに設定されているのが一般的です。
サラリーマンが銀行からローンを組んで不動産投資をしていたものの、家賃収入の減少により、ローンが払えなくなったとか、あるいは大幅な損失を抱えてしまった人も多いかと思います。今後、少子高齢化が進むことで空室率がさらに悪化し、供給過多で不動産価格までが下落するとなると、担保価値が大幅に下落することで銀行が多数の不良債権を抱えてしまうことにはならないでしょうか?
リーマンショックの時みたいに、それらをまとめて証券化して売りさばくみたいなことがはじまらないとも限りません。米国のリーマンショックはリーマンブラザーズの破たんが発端となりましたが、日本では文字通りサラリーマンの不動産投資ローンが破たんの発端となる、真の意味でのリーマンショックになるものとぼくは予測しています。
1990年代の昭和のバブル崩壊、そして2008年の米国リーマンショックなど、いずれも不動産価格の下落が引き金となっていますが、同じようなパターンに陥る可能性が否定できません。くしくも、ドイツ銀行がリーマンショック時に無茶していたことで米国から訴訟されており、破たんするとかしないとか言われていますが、はたして日本の銀行は無茶していないのでしょうか?
実態がよくつかめてはいませんが、これから不動産投資を始める方は精査する必要があるかと思われます。